- 2008年4月 2日 11:21
- 独り言
少し肌寒い朝でも、老人はそのベンチで読書をする。
嫌が追うなしに巡ってくるその時間、ページをめくることで今までを振り返り、是からにつなげる。
日が昇って暖かくなると老人は去り、初々しいカップルがそのベンチに腰掛けている。
会話もさほどなく、かといって5分咲きにはなったであろう頭上の桜に見向きもしない。
ただお互いの距離は、少し前に交わしたひと言を想いあい、この後のひと言を探しあっているだけで、それだけで、十分すぎるほどの温かい間隔を保っていた。
見た目はどれも同じ。でも、老人が過ごしたそのベンチには+コンマ1℃の温度差があった。
緩やかな時間が流れたその後には、誰にでも嗅ぎ分けられるような小さな温もりが生まれる。